テスターは無数にあるので、どの機種を選べばいいのか迷ってしまいます。

ここでは、そんなテスター(アナログ式とデジタル式)の選び方について紹介します。

 
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デジタルテスターの性能比較
アナログテスターの性能比較

 

テスターとは

 

テスターは一般的には、電圧、電流、抵抗、などを測定できる計器の事を指します。

「回路計」とも言います。

 

スイッチを用いるタイプで多機能(デジタル式)なものは「マルチメーター」や「マルチテスター」とも呼ばれます。

さらに、テスターと呼ばれるものには

クランプテスター(クランプメーター)、メガーテスター(絶縁抵抗計)、アーステスタ(接地抵抗計)もあり、テスターと呼ばれる計器は多いですが通常テスターと呼ばれる場合には、回路計やマルチメーター(マルチテスター)の事を指します。

 

ちなみに、テスターは携帯用と、主に使用するものの2つを持つのがおすすめです。

 

 

テスターの種類

 

テスターといってもその種類は豊富で、値段が数万円するものから数千円で買えるものまであります。

また高級品になる程、多機能で頑丈なものが多くなります。

家庭用として1つ持っておきたいのなら、そこまで値段が高いものを選ぶ必要はありません。

最近の小型のテスター(ポケットタイプ、カードタイプ)は、多機能型のものも多く、安いのに高性能なものが多いからです。

ただ、あまりにも安いテスターはおすすめできません。

安すぎず高すぎずがベストです。

 

アナログ式とデジタル式の違い

 

テスターは、基本的には「アナログ式」と「デジタル式」が存在します。

 

●アナログ式は、アナログメーター表示(針)
●デジタル式は、デジタル数値表示(液晶)

となっていて、外見ですぐにその違いが確認できます。

 

アナログテスターの特徴

 

アナログ式のテスターは、アナログマルチメータあるいは、アナログテスターと言います。

この機種の特徴としては、ファンクションスイッチ(測定レンジを切り替えるスイッチ)が多いことです。

(ファンクションスイッチは、ロータリースイッチと呼ばれることもあります)

 

またアナログだと、メーター表示部の目盛りをある程度細かくしなくてはならないので、そのせいでサイズが大きく、デジタル式のように小型化されたタイプが少ないのも特徴です。

 

さらに、アナログ式はデジタル式と比べると種類も多くはないです。

今は、デジタル式が数多くを占めていています。

たぶんですが初心者には、少しアナログ式は扱いにくいというのも原因にあるのかもしれません。

ですが、ある程度電気に関する知識(電圧電流の違いや直流交流の違いなど)を持っている方で、そこまで測定値にこだわらないとか、ぱっと見で電気の来ている、来ていないがわかれば良いという方は、アナログ式を選んだ方が良いでしょう。

 

ちなみに、数少ないアナログテスターですが、SANWA(三和電気計器)には種類が豊富です。

仕様については各メーカーごとに異なりますので、アナログテスターの性能比較表で確認しながら選んでみてください。

 

 

 


 

アナログテスターのメリットデメリット

 

メリット

ぱっと見で電気の来ている、来ていないがわかる


反応が早いのでイライラしないですむ


電圧、電流などのゆっくりとした変化を目で追うことができる


数十ヶ所の簡易的な電圧チェック(故障箇所の特定)の際には、かなり便利


電池は2~3年持つ(私の経験上/抵抗レンジでしか消費しません)


テストリードは分離するタイプがほとんどなので、テストリードの交換が容易にできる


 

デメリット

メーター表示部の目盛りは慣れていないと読みにくく、細かい目盛りを読む際には人によって数値に変動がある


測定レンジが多いために初心者だとレンジを間違う恐れがある(メーターが振り切れます)


テストリードの極性(+-)を間違えると、メーターが逆に振れて故障の原因になることもある


小型化されたものは少なく、ハンディータイプのものが多い


バックライト表示がない


 

デジタルテスターの特徴

 

デジタル式のテスターは、デジタルマルチメータあるいは、デジタルテスターと言います。

この機種の特徴としては、ファンクションスイッチ(測定レンジを切り替えるスイッチ)が少ないことです。

(ファンクションスイッチは、ロータリースイッチと呼ばれることもあります)

 

交流電流の測定機能を備えていることも多く、これはアナログ式にはないことが多いので(高級機種は除く)、交流電流の測定をしたい場合にはデジタル式を選ぶのが好ましいです。

またデジタル式はアナログ式とは違い、より細かい数値まで測定が可能で、4桁、5桁の数字表示が可能タイプが多く、画面表示はデジタル数値表示(液晶)なので、本体の小型化が可能になっています。

 

さらに電圧測定時には、直流と交流が自動で切り替わるタイプもあり大変便利です。

それゆえに、初心者が扱っても針が振り切れて故障したりしませんので、デジタルテスターは、初心者向けとも言えます。

仕様については各メーカーごとに異なりますので、デジタルテスター(マルチメーター)の性能比較表で確認しながら選んでみてください。

 

 

 


 

デジタルテスターのメリットデメリット

 

メリット

ファンクションスイッチが少ないので、扱いやすく初心者に優しい


細かい数値まで測定が可能


電圧測定時には、直流と交流が自動で切り替わるものもあり、これはかなり便利


テストリードの極性(+-)を間違えても、-(マイナス)の表示がされるだけで故障しない。


交流電流の測定が可能なものが多い


多機能(コンデンサの静電容量、周波数、デューティ比、バーグラフ機能、データホールド機能、バックライト表示、オートパワーオフ機能など…)


機種が豊富


 

デメリット

反応が少し鈍い


デジタル式は表示が不安定なこともある。


内蔵電池を消費しやすい(液晶なので)


小型化されたものはテストリードが一体となっているものが多いので、テストリードを容易に交換することは難しい


 

 

目的(測定範囲)に応じて選ぶ

 

テスターを選ぶ場合には、何かしらの目的があると思います。

ここでは、目的別にどういった測定機能があれば良いのかを見ていきます。

 

●自宅のコンセント(一般家庭)の電圧を測定したい。

交流電圧100V以上のレンジ。

デジタル ACV

アナログ AC

 

*ACは交流

*DCは直流

*Vは電圧(ボルト)を指します。

*単相三線式の場合には、エアコン(100Vもある)、IH、電気温水器、食器洗い乾燥機などは200Vとなります。

自宅の電気が単相二線式、単相三線式かどうかわからない場合には、交流電圧200V以上のレンジを使用します。

 

●アンプの100Vプラグを使用するので、コンセントの極性を調べたい。

検電テスターを使用する。

検電テスター(ペンシル型)のおすすめ

 

*アース端子がないコンセントの場合には、通常のテスターではなくペンシル型の検電テスターを用いると容易に極性が測定できます。

 

●工場で電動機(動力機器)などの電圧を測定したい。

交流電圧200V以上のレンジ

デジタル ACV

アナログ AC

 

*工場などでは交流電圧200V以上の電圧(400Vなど)を用いている機器もあるので、測定する際には注意しましょう。

 

●電気工事で使用したい。

電気工事士におすすめのテスター

 

●乾電池を測定したい。

直流電圧1.5V以上のレンジ

デジタル DCV

アナログ DC

 

●カーバッテリー(車)の電圧を測りたい。

直流電圧12V以上のレンジ(乗用車の場合)

デジタル DCV

アナログ DC

 

*ちなみに、10.2V以下は放電のし過ぎか不良になりかかりだそうです。

 

●家電の抵抗値を測定しておきたい。

抵抗レンジ:Ω

 

●電源コードの断線箇所を特定したい。

導通レンジ

 

●工場などで端子部分に触れずに電圧が来ているか、来ていないかを測定したい。

検電機能モード

 

●LEDがちゃんと点灯するのか確認したい。

LEDチェック(点灯試験)のレンジ

 

●濡れている場所や汚れる場所でも使用したい。

汚染度3~4の測定器の使用(結露などは汚染度3でもOK)

 

 

メーカー品から選ぶ

 

テスターを選ぶ際には、まず値段が高いか安いかを見て選ぶことが多いかと思います。

しかし、安いテスターのほとんどは、「MADE IN CHINA(中国製)」となっていて、「本当にこれは使えるのか?」という怪しい物が多い印象です。

 

中国製テスターは大量生産による安価な値段が魅力ですが、安全性や信頼性には少し疑問が残ります。

その点、メーカ品ですと「Made in Japan(日本製)」であることが多いので、安心して使用することができます。

もちろん、中国製品にも良い商品はあります。

例えば、三和電気のPM3などは中国が製造元となっていますが、多機能ですし三和電気計器という日本の有名メーカーから出ているので、「そこまで心配する必要はない」と思えるテスターです。

 

おすすめのメーカー

 

また、各メーカーの製品には独自の技術が組み込まれており、それぞれに特徴があり一概にどのメーカーが良いとは言えませんが、日本なら

 

●HIOKI(日置電機)

●Sanwa(三和電気計器)

などが有名ですし、外国なら

 

●FLUKE(フルーク)

が有名ですのでこれらの企業から、テスターを選ぶのも一つの方法です。

 

他にも

●横河メータ&インスツルメンツ

●KYORITSU(共立電気計器)

●KAISE(カイセ)

などのメーカーがあります。

 

 

形状(大きさ)で選ぶ

 

テスターを選ぶ際には、形状で選ぶのも一つの方法です。

テスターと呼ばれる計器で形状別に分けるとすると、4つに分けることができます。

 

●ハンディータイプ

●ポケットタイプ

●カードタイプ

●ペンシルタイプ

です。

 

ハンディータイプ

 

 

ハンディータイプとは、一般的には大人の手のひらに収まる(握れる)大きさのものをハンディータイプと呼びます。

このタイプの特徴としては、基本的な機能(電圧、電流、抵抗、導通)はもちろんですが、周波数、静電容量、デューティ比率、ダイオード、大電流の測定、温度測定、真の実効値測定などが可能となっている多機能型が多いです。

 

中にはPC計測に対応する高機能なものもあり、小型テスターよりもより高機能となっています。

その他にもメーカーごとに何かしらの特殊な機能(検電機能、バーグラフ、交/直電圧自動判別機能付きなど)を備えているのも特徴ですし、テストリードも分離するものがほとんどですので、長く使えます。

ハンディータイプのテスターは、できるなら一台は持っておきたいと思えるテスターです。

 

ポケットタイプ

 

 

ポケットタイプは、ハンディータイプよりも小さく持ち運びも楽なので使い勝手が良いです。

このタイプの特徴としては、ハンディータイプよりも機能は落ちますが値段が比較的安くなります。

機能としては、基本的な機能(電圧、電流、抵抗、導通)とダイオード測定、トランジスタチェック、周波数、静電容量などを測定できるタイプが多くなります。

 

小型テスター(ポケットタイプ、カードタイプ)の場合ですと、電流測定機能がないタイプのものも多いです。

 

 

カードタイプ

 

 

カードタイプのテスターは、ポケットタイプよりも薄いので胸ポケットにも余裕で入る大きさです。

このタイプの特徴としては、本体を小型化するに当たってファンクションスイッチも少ないですし余分な機能がなく、非常にシンプルなものが多いです。

(メーカーによっては基本的な機能(電圧、抵抗、導通)以外にもダイオード測定、トランジスタチェック、周波数、静電容量などを入れている場合もあります)

 

*カードタイプもポケットサイズとして紹介しています。

 

ペンシルタイプ

 

 

ペンシルタイプのテスターは、非常にスリムです。

このタイプの特徴としては、テストリードと本体が一体となっています。

こうしたタイプは、種類が少なく数える程しかありません。

機能としては、基本的な機能(電圧、抵抗、導通)とバックライト表示があるタイプもあります。

 

SMDテスター

 

 

さらに小型テスターには、ペンシルタイプとも少し違う「SMDテスター」というものもあります。

このタイプは片手で測定することができるので、左手に対象の物を持って右手で測定する(右利きの場合)といったことが容易にできます。

細かい作業には、最適なテスターと言えます。

 

 

「測定カテゴリ」「汚染度」の規格に応じて選ぶ

 

測定カテゴリ

 

テスターには、測定カテゴリというものが定められており測定カテゴリは、CAT I、CAT II、CAT III、CAT IVなどに分けられます。

 

これらのカテゴリは、安全性に関する規格(EN61010 シリーズ、JIS C 1010 シリーズ)において定められています。

 

安全性に関する規格(EN61010 シリーズ、JIS C 1010 シリーズ)では、測定箇所の対地間定格電圧や電流容量(短絡故障のときに流れる電流の大きさ)、および測定箇所に生じる過渡過電圧に基づいて、測定カテゴリⅡからⅣに分類しています。

 

出典:日置電機

 

出典:日置電機の取扱説明書

 

CAT II < CAT III < CAT IV

カテゴリの数値が上がるにつれて、危険度が上がっていくと思った方がわかりやすいです。

 

汚染度

 

さらに、安全に関する規格では「汚染度」というものも定められています。

こちらも測定カテゴリのように、1~4までが定められています。

汚染度とは空気中のほこりなどを指していて、詳しく言うと絶縁性能を低下させる汚染物質(固体、液体、気体)のことを言い、それらを表す指標なのです。

 

汚染度は数値が上がるにつれて、計器の使用環境は劣悪になっていきます。

1<2<3<4

 

汚染度1

汚染がなく、乾燥していて、空気もきれいな現場。

 

汚染度2

非導電性の汚染のみ、凝縮による一時的な導電性になる現場。

 

汚染度3

導電性汚染が生じても可、結露等で濡れた状態が長時間続く現場。

 

汚染度4

濡れている場所、粉塵が舞っている現場。屋外など

 

 

安全にテスターを使用するためにもこうした規格、仕様をしっかりと確認してテスターを選びましょう。

そうすることがテスターを長持ちさせますし、計器の故障による感電などの事故を未然に防ぐことにもなります。

 


 

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